歯の治療中に実感した、セルフヒプノシスの効果

   

医療とヒプノセラピー

(体験レポート)

先日、歯科医院で治療を受ける機会がありました。
幼い頃、虫歯があった私は歯医者が本当に怖くて、いまだに歯科医のドアをくぐり機械音や薬品の匂いを嗅ぐだけで当時の恐怖心が蘇ってきてしまいます。
私のように、大人になっても歯の治療は怖い、少し苦手だという方は少なくないでしょう。
私自身、ヒプノセラピストとしてクライアントのサポートや誘導を用いた瞑想会などを開催する中で、改めて「セルフヒプノシス(オートヒプノシスとも呼ばれる)」の即効性、有効性を実感する体験をしました。

オートヒプノシス(セルフヒプノシス)とは?

オートヒプノシスとは、自分自身で催眠状態を作り出す方法のことです。
「催眠」という言葉を聞くと、映画やマジックショーで見るような特殊な状態を想像する方もいるかもしれません。
しかし実際の催眠は、とても自然な意識状態です。
たとえば、

  • 本に夢中になって周囲の音が聞こえなくなる
  • 映画に集中して時間を忘れる
  • 車の運転中に目的地までの道のりをあまり覚えていない

こうした体験も、ある意味では軽いトランス状態(脳波が下がっている状態)といえます。
オートヒプノシスでは、この自然な集中状態を意図的につくり出し、自分にとって望ましい心身の状態へ導いていきます。

歯の治療中に私が試みたこと

痛みを感じるのが怖いので、私はいつも手に爪を立てて握りしめて歯科治療に臨みます。
爪が手に食い込み、その痛みを感じていることで、歯に感じる痛みを紛らわせる目的です。
実は幼い頃からこの癖は変わっていません。
しかし今回は、あえて爪を立てることをやめて体をダランとさせることに集中しました。
診療台に横になりながら何度か鼻で深呼吸をし、自分自身を軽い催眠状態へと導きました。
身体の力が抜けていく感覚に意識を向け、心地よい場所のイメージを思い浮かべます。
そして「私は安全で守られている」と心の中で繰り返しました。

そこで今回浮かんできたのは、以前住んでいた海辺の景色でした。
治療への不安や緊張が徐々に薄れてきていたところに、突然ドリルのようなものでまるで工事現場のような音と振動を自分の歯の上に感じます。
その頃、すでに部分麻酔が効いていて痛みはないのですが、あっという間に不安と恐怖が私を支配し始めます。
せっかくのビーチもこれではリラックスどころではありません。
そこで、少し私は別のイメージを作る試みを行いました。
それは・・・

少し前に聞いたある男性のお話を思い返すことからスタートします。
その方はインタビューでこう答えていました。
「僕はちょっと変わっていて、夏になって近所から芝刈り機の音が聞こえると幸せな気分になるんです。
(芝刈り機の音は大抵の人にとって騒音でしかないと思うのですが)、草木の背が高くなっていく、その植物の成長を感じる芝刈り機のその音は、生命(草木)の息吹きを感じるは素晴らしく幸せな音なんです」
これを聞いた時、私は「なんていいことを聞いたのだろう!」と思いました。
その翌日から、近所でどんなに芝刈り機がうるさかろうと、私は一向に気にしなくなりました。
なぜならこの音によって、夏の恵みでどんどん背が高くなる草木を私も連想できるようになってしまったから。
そして私は今回、こんなふうに思うことにしました。
歯の上に感じるドリルの音と振動が、この先美しい歯を何年もキープするための素晴らしい音なのだ、と気持ちを入れ替えた途端、私の中にビーチでの落ち着いた空気と日差しが戻って来ました。
そしてなんと、気がつくと私はうとうとして随分とリラックスして歯の治療に身を委ねていました。
上下2本の歯の治療に1時間と少し要したのですが、私の感覚では20分ほどだったのです。
もちろん、私の歯の治療中痛みや不快が完全になくなったわけではありません。
しかし、恐怖心と不安は綺麗になくなり、治療時間もあっという間に感じられました。

なぜ効果があるのか

このように私たちの脳は、何に注意を向けるかによって体験そのものが変化します。
不安に意識を集中させれば不安は大きくなり、安心感に意識を向ければ身体もそれに応じてリラックスしていきます。
オートヒプノシスは、意識の焦点を意図的にコントロールするための技術です。
呼吸を整え、身体をリラックスさせ、イメージや言葉を使いながら潜在意識に働きかけることで、心身の反応に変化をもたらします。
これは「気の持ちよう」という単純な話ではありません。
実際に、リラックス状態になることで筋肉の緊張が緩み、自律神経のバランスが整いやすくなります。
その結果として、ストレスの軽減や集中力の向上などが期待できるのです。

オートヒプノシスのメリット

オートヒプノシスのメリットはつぎの4点にまとめられます。

1. いつでもどこでも実践できる

特別な道具や環境は必要ありません。
椅子に座ったままでも、ベッドに横になった状態でも行えます。慣れてくれば数分で深いリラックス状態に入ることも可能です。

2. ストレスマネジメントに役立つ

痛みや恐怖に限りません。仕事や人間関係など、現代人は多くのストレスにさらされています。
オートヒプノシスを習慣にすることで、心を落ち着かせるスイッチを自分で持てるようになります。

3. 集中力やパフォーマンス向上をサポートする

スポーツ選手やアーティスト、経営者などがイメージトレーニングを行うように、セルフヒプノシスは目標達成に向けたメンタルコンディショニングにも活用できます。

4. 医療や健康管理の場面でも活用できる

私の歯科治療の体験のように、不安を伴う場面で心を落ち着ける助けになります。
検査や通院への緊張を和らげたり、治療中のストレスを軽減したりするためのセルフケアとして取り入れる方もいます。

大切なのは「自分をコントロールする力」を育てること

オートヒプノシスの本質は、自分を変える魔法ではありません。
むしろ、自分自身の心と身体の反応を理解し、より望ましい方向へ導くためのトレーニングです。
私たちは普段、無意識のうちに不安や心配に意識を向けてしまうことがあります。
しかし、意識の向け方は選ぶことができます。
先日の歯科治療で私が改めて感じたのは、「安心感もまた、自分で育てることができる」ということでした。
オートヒプノシスは、そのためのシンプルでありながら奥深い方法です。
忙しい毎日の中でほんの数分、自分自身の内側に意識を向ける時間を持ってみてください。
きっとそこには、思っている以上に大きな可能性が眠っているはずです。
ヒプノシスにご興味を持たれた方は、ぜひ基本を学べるSORAヒプノシス トリセツ講座を受けにいらしてください。
(ろわ佐奈子)

※ヒプノシスは医療行為ではなく、その効果には個人差があります。
心身の不調や疾患がある場合は、医療機関での適切な診断・治療を優先してください。
オートヒプノシスは健康管理やリラクゼーションをサポートする手法の一つとして活用することができます。※

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