こんな経験はありませんか?
仕事や家庭で、「冷静に対処しよう」と心がけているのに、ついイライラや怒りが爆発してしまう…。
その後、「自分はダメだ」と自己嫌悪に陥ったりすることはないでしょうか?
実は、私たちの感情や行動には「潜在意識」という深層心理が影響しているのです。
私の経験:父に対する怒りの根源
私自身も長い間、ある感情に悩まされてきました。
それは、父に対して抱いていた怒りです。
父は厳しい人で、子供の私はいつも彼に見張られているように感じていました。
大人になってからもそんな彼を尊敬できず、反抗心とともに怒りを感じていました。
でも、なぜ私がそんなに怒るのか理由がわかりませんでした。そして、あるときふと気づいたのです。
私の父に対する怒りは、「親の期待に応えられない」「自分は価値のない人間だ」といった自己否定の潜在意識の現れだったからです。
父は私に「無意識の自己否定」を理解させる鏡のような存在で、 私はその父を見下すことで自分を正当化していたのかもしれません。
感情の仕組みと潜在意識:脳と心の深層部分
私たちの感情は、脳の扁桃体という部分が瞬時に反応します。
この扁桃体は、危険や脅威を察知すると、「危険だ!」と自動的に反応し、怒りや恐怖などの感情を引き起こします。
一方、理性的な判断を下す前頭葉は、扁桃体の反応の後に働き始めます。
つまり、扁桃体は「無意識」に反応し、私たちの感情や行動を大きく左右しているのです。
さらに、私たちの潜在意識には、「過去の経験」「無意識の思い込み」「その経験や思い込みから生まれた価値観」などが深く刻まれています。
私の場合、「親に認められたい」「自分は価値ある人間だと感じたい」という願望と、それが叶えられないことによる自己否定が解決されないことへのもやもやした感情が、父に対する怒りに繋がっていたようです。
なぜ、「わかっていても」怒ってしまうのか?
潜在意識に根ざした「無意識の反応」が、理性を超えて私たちの感情を引き起こすのです。
たとえば、幼少期のトラウマや、過去の失敗経験が潜在意識に深く刻まれていると、それがきっかけで、ほかの人が気にも留めないような、何気ない他人の言動に過剰に反応してしまうことがあります。
私の例では、父の厳しさや無言の圧力が、自分の自己否定と結びつき、それが解決されないことへのやり場のない怒りを引き起こしていたのです。
感情と潜在意識を味方につけるためのヒント
- 自分の感情と潜在意識に気づくこと
まずは、自分が怒っている瞬間に、その背後にある潜在意識のメッセージに気づきましょう。「なぜ今、自分は怒っているのか?」「どうして欲しいのか?」と問いかけてみてください。
そして、どんな感情が湧き上がってきても、すべてありのまま受け入れましょう。私の場合、「父に認められたいのに、どうして伝わらないのか?」という感情の裏には、もっと自分を愛してほしい、私のことを理解してほしい、という感情が隠れていました。
- 潜在意識を書き換える
「自己暗示」「イメージトレーニング」「ジャーナリング」などのセルフトレーニング、そしてヒプノセラピーのセッションなどを受けることによって、私たちは自分の潜在意識を書き換えることが可能になります。私も日々の自分の感情に寄り添い、必要に応じてそれを癒すヒプノセラピーなどを繰り返し受けることで自身が変化し、そして、人間関係や家族関係にも変化が起こってきました。
何よりも嬉しいことは、自分の周りに怒っている人がいなくなったことです。 - 感情を受容し、潜在意識と対話する
怒りや不安を感じたとき、それを否定せず、ありのままの自分と向き合いましょう。と潜在意識に問いかけてみてください。
これにより、無意識の深い部分が安心し、反応が和らぎやすくなります。 - 潜在意識の癒しと自己理解
過去のトラウマや潜在意識の傷は、専門的なセラピーやヒプノセラピーで癒すことも効果的です。私も、自己理解と癒しを進める過程で、父への怒りや自己否定の感情がずいぶん和らぎました。そして、変えることは不可能と思われていた過去のトラウマすら美しい記憶へと変わっていくのを実感しています。
まとめ
怒りは、私たちの自然な感情の一つです。
でも、その背後にある潜在意識の影響を理解すれば、コントロールできないものではありません。
ご自身の潜在意識と向き合い、未消化の感情を癒すことで、より穏やかに日々を過ごすことができるようになるのです。
たくさんの新しい自分に出会えるようになります。
あなたの心の奥深くに眠る「潜在意識」と上手に対話し、感情と仲良くなることで、より豊かで美しい人生を手に入れましょう。
私たちセラピストは、あなたの変化に全力で寄り添います。
けれど、変化を起こすのは自分自身であることをどうぞ忘れないでください。
(なかむら ひろみ)