「呪文」、信じる?信じない?
「ちちんぷいぷい…」
小さい子どもの頃、転んであちこち擦りむいたとき。
大人に膝や肘に手を当ててもらいながら「ちちんぷいぷい、痛いの痛いの飛んでいけ!」と言ってもらうと、なぜだか本当に痛いのが飛んでいくような気がしたものです。
不思議な力を持っているように思える「呪文」。
でも、それは気のせいや迷信の類の話なのでしょうか。
「ちちんぷいぷい」の正体
「ちちんぷいぷい」という、意味がないようで、実は意味がある言葉(=呪文)ですが、心理学的には、「儀式的な安心行動」「プラシーボ効果」として説明することができます。
まず、「大人が寄り添ってくれた」ことで「守られている」感覚、安心感を得ることができます。
また、「大人が痛いのを飛ばしてくれた」ことでプラシーボ効果が発動し、不安や痛みが軽減されます。
そして、音のリズム、反復性、優しいトーンが脳の扁桃体(不安や恐怖を担う)を落ち着かせることができます。
つまり、「ちちんぷいぷい」は幼児用アファーメーションとも言えるのです。

「呪文」のいろいろ
ところで、「呪文」と言われると、魔法学校で教えてもらったり、おとぎ話で魔法使いが魔法をかける時に唱えたり、RPGなどで敵を倒したり、味方を回復させたりするときに使う言葉という印象が強いかもしれません。
でも、現代の日本でも耳にする呪文はいろいろあります。
先ほどの「ちちんぷいぷい」の他に、
くわばら、くわばら
アブラカタブラ
臨兵闘者皆陣列在前(リンピョウトウシャカイジンレツザイゼン、九字)
アブラウンケンソワカ(真言)
オンコロコロ センダリ マトウギ ソワカ(真言)
なども、知られているのではないでしょうか。
改めて聞くと意味不明な言葉たちですが、何だか解らないけど効きそうな感じがしますね。
そして、熱心な方でなくても多くの人が知っている「般若心経」にも呪文(真言)が含まれています。
「般若心経」と脳の関係
「般若心経」こと、「般若波羅蜜多心経」は、仏教の大乗仏教の教理600巻をまとめにまとめて262字にしたものです。
内容の多くが大般若経から抜粋されていることから、大般若経を凝縮したお経だとも言えます。
内容は、大乗仏教の教えである「空即是色、色即是空(この世のものは、すべて空想で実体がない「空である」)」をいろんな方向から説いているものです。
その「般若心経」を読経や写経することで、繰り返しのリズムや音韻、呼吸との同期で脳の前頭前野が活性化されて集中力や自律神経が安定し、扁桃体が抑制されることでストレスが低下し、ガンマ波が増加することで高度な意識状態へ近づくことができます。
そして、心身が落ち着いて高度な意識状態になったところで「羯諦羯諦 波羅羯諦 波羅僧羯諦 菩提娑婆訶(ギャーテー ギャーテー ハーラーギャーテー ハラソーギャーテー ボージーソワカ)」みんなで彼岸へ行こう、悟りの境地へ行こうという意味の呪文(真言)で締め括られます。
「般若心経」が読経や写経に広く使われているのは、自律神経が安定し、ストレスが低減し、高度な意識状態へ近づいた状態での真言の効果で、知らず知らずのうちに心癒されている人が多いからかもしれません。

言葉の持つ力
「ちちんぷいぷい」や「般若心経」を唱えるときに起こる「安心感」や「リラックス」、そして、そこへの言葉がけ(呪文)は、潜在意識へ働きかけるのにとても有効です。
潜在意識とは、意識の90〜95%を占めると言われる、普段は自覚していない心の領域や働きを指し、思考、記憶、感情、信念などが含まれています。
そして、無意識下で行われる行動、認識、感情に影響を与えるとされています。
ーふと気付くと同じところでイヤな思いをしている、いつも同じようなことで怒っている、
漠然とした不安がある、どうにも自信が持てない、できる気がしない…ー
それらは、潜在意識の関与が大きく、潜在意識へ上手に働きかけて再プログラミングすることができれば、無意識に好ましい反応や行動を選ぶことができるようになり、状況を改善することができます。
そこで、もし今、何か改善したいことがあるのなら、潜在意識に届く言葉を使って、望む「これから」を創造していきましょう。
そして、効果的な言葉を選ぶのに、ちょっとしたコツがあります。
- 脳が処理しやすく、イメージが明確になる言葉を使うこと。
たとえば、小さい子どもに何か物を持ってもらう時、「落とさないでね」と「しっかり持ってね」のどちらが伝わりやすく、ちゃんと持っていてくれるかと言えば、後者です。
単語が多い、または文章が長いと、脳がそれを処理するのに時間がかかってしまう=効果を実感し難いので、できるだけシンプルにしましょう。 - ポジティブな感情と結びつけやすく、繰り返しやすい言葉を使うこと。
ポジティブでもネガティブでも、感情と結びつけることで記憶として脳に強く刻まれます。
そのため、その言葉を聞いたり、読んだりした時に、嬉しくなったり、安心したりできる言葉が効果的です。
そして、繰り返される言葉や思考は、脳内の神経回路(ニューロンの接続)を強化します。
神経回路が強化されると、無意識下での反応が早くなっていきます。
こうして選んだ言葉を、潜在意識にアクセスしやすいタイミング(リラックス時や瞑想時)に
唱えたり、書いたりすることを繰り返しましょう。
1、2を満たしていれば、ご自分だけが判る呪文でもOKです。
ご自分の感情に寄り添いながら、簡単で前向きな言葉がけを繰り返すことで、
願う方向へと軌道修正していきましょう。
意識研ヒプノセラピー協会の公認セッションには、自己暗示もあります。
セラピストがあなたの感情に寄り添い、簡単で前向きな、
あなた専用の言葉を紡ぎ、それをインストールしていくお手伝いをいたします。
(ごとうともこ)
