最新の脳科学から解説!ヒプノセラピーの仕組み(下)
「新しい脳」が導く俯瞰と癒しのプロセス

   

ヒプノセラピーについて

前回の記事(上:「脳波からみる安全性」)では、ヒプノセラピー中にみられる脳波の特徴から、「催眠状態」が眠りでも支配でもなく、安全で理にかなった状態であることを見てきました。
ヒプノセラピー中のクライアントは、

  • 外部刺激を遮ることで内面に集中し(アルファ波が出る)
  • 潜在意識の中の記憶を呼び起こし(シータ波が出る)
  • 記憶をあらためて再認識し、再構成する(シータ波+ベータ波が出る)

という過程をたどりながら、記憶の中にある心の傷を癒していきます。
今回は、このヒプノセラピーのプロセスを「新しい脳」と「古い脳」という視点から見ていきましょう。

古い脳と新しい脳

脳の働きを理解するうえでよく使われるのが、「古い脳」と「新しい脳」という区分です。
これは厳密な解剖学上の分類ではありませんが、脳の進化の過程を説明するうえで一般的に用いられます。

「古い脳」と呼ばれるのは、主に小脳・脳幹・大脳辺縁系の3つ。
これらは生命を維持するための基本的な働きを担っています。
小脳は姿勢を保ち、体の動きをスムーズにする場所です。
脳幹は、呼吸や心拍など、生きるために欠かせない機能を調整しています。
大脳辺縁系は、恐れや怒り、喜びといった感情と、それにまつわる記憶を処理する部分です。

一方で、「新しい脳」と呼ばれるのは、脳の最も外側にある大脳新皮質を指します。
ほかの生物と比べると、人間は特に優れて発達しており、思考・判断・言語・創造性などを担います。
怒りなどの強い感情をコントロールしたり、先のことを計画的に考えたりできるのは、この「新しい脳」のはたらきによるものとされています。

ヒプノセラピーの3つのステップ

では、この2つの脳の区分を切り口に、ヒプノセラピーの基本的な流れを見てみましょう。

  1. 誘導
    脳全体の処理反応を静めるために、静かで安全な場所で外界の刺激を減らし、心身をゆるめます。
    内面の感覚がはっきりと感じられるようになります。
  2. 記憶を呼び起こす
    「古い脳」に保存されていた過去の感情や感覚が、誘導によって自然に浮かび上がってきます。
  3. 俯瞰と再統合
    「古い脳」から浮かび上がった過去の感情や記憶を、「新しい脳」が受けとめ直し、再統合します。
    「新しい脳」がそれらを受け止め、あらたに意味を与えることで、記憶の扱いが変化します。
    心の傷を根本から癒すことも可能にします。

SORAヒプノシスが重視する「宇宙の視点」

人が自分の感情や思考を俯瞰できるのは、「新しい脳」のはたらきによるものです。
当協会が提唱・普及している【SORAヒプノシス】の特徴は、この“俯瞰の力”をさらに高め、心の傷をいやすために、「宇宙の視点」を取り入れている点にあります。
個人の体験を超えて、「より大きな全体のつながりの視点」を得ることで、過去の出来事を高い視座からとらえ、自己理解と成長のプロセスを深めていきます。
SORAヒプノシスの一連の講座では、初級・中級・上級と段階を追いながら、ヒプノセラピストとしての技術を学ぶと同時に、セラピスト自身がまず「潜在意識の中にある自らの体験を俯瞰する力」を養っていきます。この内容は、ここでしか学べない独自のメソッドです。
SORAヒプノシス講座にご興味をもたれた方がいらっしゃいましたら、ぜひお気軽に下記の無料メールマガジンにご登録ください。
また、毎月開催している初級講座「潜在意識トリセツ講座」も、自分の感情や思考を知り、俯瞰する方法を学ぶ、最初のステップとしておすすめしております。もしよろしければ毎月の講座案内をご覧ください。

(野崎いつこ)

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