「本当は嫌なのに、どうしても断れない」「また都合よく使われてしまった…」
そんなふうに、自分を後回しにして人に合わせてばかりいると、心の中には少しずつ不満や疲れがたまっていきます。
そして、頭では「嫌なことは嫌って言えばいい」とわかっているのに、それができない自分を責めてしまう…。
もしあなたが今、そんな悩みを抱えているとしたら、自分を責める必要はありません。
それはあなたが“弱いから”でも、“優しすぎるから”でもなく、「恐れ」が深く関係しているのです。
「従わないと攻撃される」——潜在意識に刻まれた恐れ
ヒプノセラピーでは、今の行動パターンの多くは、過去の経験や環境の中でつくられた潜在意識のプログラムに影響されていると考えます。
たとえば、こんな記憶はありませんか?
子どもの頃に親の機嫌を損ねると怒鳴られたり、無視されたりした
教師や上司に反論すると「生意気」「協調性がない」と批判された
自分の気持ちを伝えたら、友達が離れていった
こうした経験を繰り返すうちに、私たちは「自分の気持ちを表に出すと、危険が伴う」と無意識に学んでしまいます。
つまり、「嫌だ」と言ったり断ったりすることで、攻撃されるかもしれない、孤立するかもしれない、損をするかもしれないという恐れが根付いていくのです。
その結果、目の前の人の機嫌を優先し、「NO」と言えない自分を演じることで、自分を守ろうとする——これは実は、とても自然な心の防衛反応なのです。
「自分の本音に気づくこと」が最初の一歩
ヒプノセラピーのセッションでは、こうした恐れの根っこをたどりながら、潜在意識にアクセスしていきます。
私自身も、かつては「いい人」でいることに必死でした。
自分の希望や感情を表に出すのが怖くて、「嫌われたらどうしよう」「批判されたらどうしよう」といつも緊張していました。
でも、ヒプノセラピーを通して、自分の中にある「怖がっている小さな私」に出会い、こう語りかけました。
「もう我慢しなくても大丈夫だよ。誰かに従わなくても、私は私でいていい。」
その瞬間、自分の中にあった重い鎧が少しずつほどけていく感覚がありました。
本音に気づくこと——それは自分の命を大切にする、はじめの一歩です。
「NO」を言えるようになると、人間関係が深まる
不思議に思えるかもしれませんが、断れるようになると、人間関係は壊れるどころかむしろ健全になっていきます。
それは、自分を偽らずに相手と関われるようになるから。
本音を伝えることで、「あなたはどうしたいの?」という対話が生まれ、より本質的なつながりが築かれるようになるのです。
そして何より、自分を大切にしているという感覚が、心にあたたかな安心感を与えてくれます。
それはまるで、見捨てられたと思っていた自分の内側の声を、やっと抱きしめてあげられるような感覚です。
あなたはもう、誰かの顔色で生きなくていい
「断ることが怖い」と感じるあなたの気持ちは、決しておかしくありません。
むしろ、過去の経験を生き抜くために身につけた、大切な“術”だったのです。
でももし今、「このままでは苦しい」と感じているのなら、
少しずつ「本当はどうしたいのか?」という自分の気持ちに寄り添ってあげてください。
あなたが自分の心の声を聴いて、自分を大切にすればするほど、
あなたの周りの人間関係も、静かに変わっていきます。
ヒプノセラピーは、その変化のサポートをするための優しいツールです。
安心できる場所で、あなたの心の奥にある“ほんとうの声”を聴いてみませんか?
(あべゆりか)